神話のたび

神話天孫降臨

天孫降臨は二つの文化の融合を示唆する?

天孫降臨は、圧倒的な支配者がやってきて、土着の者どもを従えるというイメージがあるけれど、ことはそう簡単ではなかったようだ。

葦原(あしはら)の中つ国(地上の国のこと)を治めようと天照大御神(あまてらすおおみかみ)は何度も使者を送るが、須佐之男命(すさのおのみこと)の子孫である大国主命にうまくいいくるめられて従わない。やがて高天ヶ原でも武勇の勝れた二人の神様が降り立ち、今度は大国主命も国を譲ることを約束する。晴れて天照大御神の子たちが国を治めることになったのである。

迩迩芸命(ににぎのみこと)は「筑紫の日向の高千穂のくじふる峰」に降臨する。この時三種の神器(勾玉、鏡、剣)を持ち、たくさんのお供の神たちをともなった。高千穂がどこであるか高千穂町か霧島か、今も結論は出ない。

そして迩迩芸命は大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘、木花佐久夜姫(このはなさくやひめ)という美しい妻をめとることになる。これが初めての婚姻ということになるわけである。二つの文化の融合が象徴的に現れているかのようだ。ところでこの求婚の際、大山津見神は木花佐久夜姫とともに、姉の石長姫(いわながひめ)も一緒に結婚させるつもりだった。子孫たちが、木の花の咲くように栄え、岩のように永く続くことを願ってという親心だったのだけれど、どうもこの石長姫はご面相がよくなかった。どのくらいよくなかったかというと、あまりのルックスに驚いた迩迩芸命が一日で親元に帰してしまったというほどのものだった。末永き幸の願いが込められた石長姫を邪険にしてしまったおかげで迩迩芸命の子孫たちの寿命は、以来、木の花のようにもろくはかないものになったという。

木花神社

宮崎地方に古くから残る伝説によると、この時に、境遇を嘆いた石長姫が、わが姿を映す鏡を遠くへ放り投げたところ、これが現在の西都市銀鏡(しろみ)付近に落ちて、鏡を御神体とする銀鏡神社の由来となったという。ここには銀鏡神楽という独特の神楽も伝わっている。山の神は醜い女性であるとする地方は多いけど、どうもこの話が基になっているらしい。

ともあれ、迩迩芸命と木花佐久夜姫はめでたくも結ばれ、火照命(海幸彦)、火遠理命(山幸彦)ら三人の子をもうけることになる。