神話のたび

神話あまのいわと

天の岩戸に太陽神が隠れた

阿波岐原で産まれた天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、女性神として母のような包容力で神々の国・高天ヶ原(たかまがはら)を治めていた。時に卑弥呼との共通性を指摘する人がいるように、女系社会の原型がここにあったのか、あるいは太陽を支配することで万物の母としての存在感を示していたのか。

とにかくも、世界の陽性と正義と平和を象徴する天照大御神のもとで穏やかに過ごしていた高天ヶ原に、暴れ者が乱入することになる。弟の荒ぶる神・須佐之男命(すさのおのみこと)だ。生皮を剥いだ馬を機織り小屋へ投げ込むわ、驚いて死ぬ者はあるわという大騒ぎの後、怒った天照大御神は天の岩戸に引きこもってしまい、世は闇に閉ざされる。

困った八百万(やおろず)の神々が今後の対策を練ったのが高千穂にある天安河原(あめのやすがわら)。相談の後、芸達者の天宇受売命(あめのうずめのみこと)に陽気きわまりない踊りを躍らせ、それを肴(さかな)にみんなでその周りで宴会を始めた。
その騒ぎを聞きつけた天照大御神が、何事ならんと顔をのぞかせたところを、力自慢の手力男命(たじからおのみこと)が引き出して、世は光を取り戻すことになる。

天安河原(天の岩戸神社)高千穂町

こうした物語を描いているのが岩戸神楽をはじめ、宮崎県内に数多く伝承されている神楽だ。そして高千穂にはこの神話を伝える天岩神社もある。須佐之男命は高天ヶ原を追われて出雲の国へたどりつき、やがて国つ神(土着の神)の祖となる。天つ神(高天ヶ原由来の神)と国つ神との融合という重要なイベントが後に起こるのだけれど、この騒ぎはこの伏線となっている